肝臓がん:無症状のうちに進行する

肝臓がんには、肝細胞からできる原発性肝がんと、ほかの早期にできたがんが転移してくる転移性肝がんがあります。また、原発性肝がんには、肝細胞にできる肝細胞がんと肝臓の中の胆管細胞にできる胆管細胞がありますが、胆管細胞がんは数が少なく、一般に肝臓がんといった場合は原発性肝がんの大多数を占める肝細胞がんを指します。

腹部CT検査の画像で見る肝臓がん

肝臓がんの患者を調べてみると、多くは慢性肝障害がみられ、その70%は肝硬変のある人に、25%は慢性肝炎のある人にできています。

その原因となるのは、B型とC型の肝炎ウイルスで、ウイルスが活動して肝細胞が炎症を繰り返していくうちに、遺伝子に異変が起こり、がん細胞が生じてくるものと考えられています。

肝臓がんが発見されるのは、50歳代が一番多く、次いで60代、40代の順になり、働き盛りの人に多いのが特徴です。

肝臓がんの症状
肝臓は非常に予備力が高く、病気になっても症状が出にくいことから「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝臓がんでは発生初期にはほとんど症状がみられませんが、栄養代謝能力の低下によって、乳酸などが蓄積すると、疲れが取れない、だるい(倦怠感)といった軽い症状が現れる場合があります。

サイレントキラーと呼ばれます

また、腹痛、食欲不振、お腹が張るといった消化器症状や、肝臓の炎症で発熱することもあります。さらに、栄養状態の悪化により急激に体重が減少するといった症状がみられることもあります。

このような症状は、慢性肝炎の悪化時や肝硬変でもみられますが、肝臓がんが原因となっている場合もありますので、肝臓を専門とする医師の診察を受ける必要があります。

なお、肝臓の左半分の部分に発生したがんが大きくなると、みぞおちにしこりを感じるようになります(心窩部腫瘤)。さらに、肝組織が広い範囲にわたってダメージを受けると、肝機能が低下した状態(肝不全)となり、黄疸を始め、多彩な症状が生じます。

肝臓がんの腫瘍マーカー:AFPPIVKA-U

肝臓がんの治療法
肝機能が充分に保たれている場合、手術によるがんの切除が、第一の治療法になります。正常な肝臓なら2/3を切除しても術後の機能に支障はなく、数ヶ月で元の大きさまで戻ります。

しかし、これはあくまで健康な肝臓の場合で、慢性肝炎や肝硬変などの合併症がある場合には、切除可能な大きさが限られます。そのため、肝機能の状態、合併症の有無、年齢などを総合的に考慮して、どのような手術が可能か判断されることになります。

手術に次ぐ治療法としては、肝臓がんに血液を送る動脈に栓をしてがん細胞を死滅させる冠動脈塞栓術、細い針でがん細胞に純エタノールを注入し死滅させるエタノール注入療法などがよい成績を上げています。また、重粒子線など新しい放射線療法が有効と考えられており、研究が進んでいます。