腫瘍マーカーには感度や臓器特異性などの問題が存在します

まず第一に、がんの早期から腫瘍マーカーが高値を示すことが少ないという問題があります。腫瘍がある程度大きくならないと高値にならなかったり、人によっては最後まで検出できなかったりする場合もあります。

さらに、がん以外の良性の疾患や加齢によって高値を示すものも存在するため、腫瘍マーカーが高値であってもがんであるとは限りません。

また、がんが進行して大きくならないと異常値を示さないといったことがありますので、腫瘍マーカーのみによる診断は危険です。確定には、画像診断や生検といったほかの検査を同時に行い総合的に判断する必要があります。

第二に、腫瘍マーカーの感度と特異度の問題があります。感度とは、がんである人を正しくがんと診断できる正確さのことです。感度が低いと、本当にがんである人を正常と診断し、がんを見逃してしまいます。

特異度が低いと、正常な人をがんと診断してしまい(=偽陽性)、不安を与え、さらに必要のない検査をしなくてはならない負担を課してしまうことになります。

現在の腫瘍マーカーの中には、この感度と特異度がとくにがん発生の初期において不足しているために、がんのスクリーニング(ふるいわけ)には用いることが出来ないものが数多く存在します。

最後に臓器特異性の問題、つまり腫瘍マーカーとがんが明確に対応していいないという点が挙げられます。ある腫瘍マーカーが陽性となったとき、ここの臓器にがんがあるというように診断がすぐに絞り込めればよいのですが、そうではありません。

例えばCEAという腫瘍マーカーがありますが、大腸がん乳がん胃がん膵臓がんなど、さまざまながんで高値を示す(=臓器特異性が低い)ことがあります。

臓器特異性が低いと、がんは身体のどこかに存在するのだろうけれど、どこの臓器に存在するのかわからず、追加の二次検査を行わなくてはならないなど、患者への負担が大きくなってしまいます。

一方PSAという腫瘍マーカーは、前立腺がん以外のがんでは高値を示しません(=臓器特異性が高い)。しかし、がんではなく前立腺炎や前立腺肥大といった良性疾患、加齢により高値を示すこともあるので、PSAが高値であってもがんであるとは限りません。